農林水産省 国内肥料資源流通促進支援事業 バイオ液肥活用先進事例集

【事業目的及び内容】
作物生産において必要不可欠な農業生産資材の一つである肥料は、その原料の多くを海外に依存していることから、国際市況や原料産出国の輸出に係る動向の影響を強く受けざるを得ない。農林水産省では、海外からの輸入原料に依存した化学肥料から、国内資源を活用した堆肥やバイオ液肥への転換を進める取組等を、「国内肥料資源流通促進支援事業」として推進している。
本事業の一環として、一般社団法人日本有機資源協会(JORA)では、家畜排せつ物・食品廃棄物・下水汚泥等のバイオマスを原料として、メタン発酵によって生成されるバイオ液肥(メタン発酵消化液)の利用拡大に向けて、「バイオ液肥活用先進事例集」を作成した。

【2024年度バイオ液肥活用先進事例集の掲載内容について】
本先進事例集では、バイオ液肥の利用を進める全国14地区の農家や事業者の協力を得て、取組概要を紹介している。事例集の発行は令和5年度に続くものであるが、本年度は特にバイオ液肥を利用されている農家の方々にインタビューし、きっかけ、施肥設計の考え方、バイオ液肥の搬送・散布方法、コスト、収量や品質への影響、課題、今後の取組予定、これからバイオ液肥の利用を始める方へのアドバイス等を聞き取って、写真とともに収録した。また、調査者のコメントを付した。さらに、バイオ液肥を製造する施設の情報を掲載した。
この事例集がヒントとなり、国内肥料資源であるバイオ液肥の利用が拡大し、地域での資源循環の取組が進むことを期待する。

2024年度「バイオ液肥活用先進事例集」農家の声 web版の公開 【ダウンロード】8MB

 

 【2023年度バイオ液肥活用先進事例集の掲載内容について】

本先進事例集は、バイオ液肥の利用を先進的に行っている15事業者の協力を得て、その取組概要や波及効果を紹介している。15事例の選択に当たっては、原料種別、地域性、事業主体の属性が多様になるように考慮した。事例集作成に当たっては、現地確認やインタビューを行いながら、事業者に可能な限り数値情報を示していただいた。
バイオ液肥の成分表については、本事業において統一的な方法によって分析した値である。バイオ液肥中の窒素、リン酸、カリの全てが、作物が利用できる形態ではない。本事例集では、含まれる肥料成分のうち、作物が利用でき、肥料として有効な量を化学肥料代替可能量とし、下記の通り定義する。
窒素については、バイオ液肥のアンモニア態窒素含有量※1、リン酸についてはバイオ液肥の全リン酸含有量に0.8を掛けた値※2、カリについてはほぼ全てのカリが肥料として有効なので、バイオ液肥のカリ含有量全てを化学肥料代替可能量とする。
なお、冊子は、JORA、北海道大学、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が役割分担しながら作成したものである。
※1  一般社団法人日本有機資源協会編(2023):『メタン発酵システムー基礎から実務まで知りつくすー』、環境新聞社、第8章バイオ液肥の利用
※2  坂本樹一朗、櫻井道彦、石倉 究、中村真人、折立文子、北川 巌(2022):メタン発酵消化液に含まれるリン酸の形態別含有割合、日本土壌肥料学会2022年度東京大会講演要旨集68、99

          2023年度バイオ液肥活用先進事例集」Web版の公開!【ダウンロード4MB】 【正誤表ダウンロード】